(以下引用)
山口は以前から数々の身体的不調に悩まされてきた。
「突発性難聴、群発性頭痛、頸椎ヘルニア、帯状疱疹……内科も整形外科もペインクリニックも行って、痔で肛門科も通って。そこにうつ病でしょ? 我ながらミュージシャンっぽいなあって」
通院を始めたものの、当初は処方された薬を服用していなかったという。なぜか?
「本当に僕の知識が浅かったんだけど、薬の働きのせいで無自覚なまま変なものを作っちゃうんじゃないか、とか、何も作れなくなったらどうしようと想像したら怖くなってしまって、内緒で飲まずにいた。そうしたら一気に体調が悪くなっちゃって。食欲もなく、朝から晩までベッドから出られない。
這い上がっても、30秒ぐらいでまたベッドに倒れ込んでしまう。でも何か食べなきゃ死んじゃうし、僕は独身で一人暮らしなので、必死にスマホを持ってUber Eatsを頼んでみる。だけど玄関先まで取りにいくことすらままならなくて、出前がどんどん玄関に溜まってしまった」
(中略)
そして、収入もほとんど途絶えた。
「ミュージシャンってライブと作品の収入しかないから、本当に後から収入がビタッと止まった。確定申告の時、『あれ?』みたいな。結構びっくりしました」
「正直、こんな思いが一生続くのならば、『死んだほうが楽だな』と思ってしまう人がいることも理解できました。しんどかったけど、行動を起こすようなところまではいかなかった。想像はしましたけど。あと、飛行機の予約を取りかけたこともありました。もう全部捨てて、音信不通になって、故郷の北海道に逃げちゃおうかなって」
(中略)
もう一人、支えになってくれた人がいる。
「(極楽とんぼの)加藤浩次さんは、僕の体調が一番悪かった時、『おう、思ったより元気そうじゃん? 全然大丈夫じゃん』と言って、いつもと同じように接してくれました。あの言葉には救われましたね。後から聞いたら、本当は『もう駄目だこいつ。休んだほうがいいわ』と思っていたらしい(笑)。でも、あそこで『お前、駄目だわ』と言われていたら、たぶん、僕は本当に駄目になっていたと思う」
(中略)
うつ病のつらさは体験した人じゃないと分からないと山口は言う。
「『倦怠感』って言葉、よくないですよ。『なまける』なんてもんじゃないから。体験していない人が想像するより、200倍くらいつらいと思う。僕の場合は『ドラゴンボール』に出てくる『精神と時の部屋』じゃないけど、ひどい時は本当に重力が何倍にも感じる。
躁の時間が長い人や、端から見たら元気で、サボってるように見える人もいる。人によって症状が違うので、まずはカウンセリングや治療を受けることが大事だと思います」
(中略)
「元に戻る」のではなく、「新しい自分」になると山口は言う。
「うつ病の自分を受け入れる。その習慣が新しい自分を生み出し、新しい音楽を作り、それをメンバーやスタッフがいいねと言ってくれたらやればいい。この病気と寄り添い、乗りこなして生きていく覚悟です」
「新しい自分」だからこその「新しい目標」もある。
「音楽やメディアを使って、うつ病になった僕の姿を包み隠さずドキュメントとして見せていこうと決めた。苦しさを知っている立場だからこそ、チャレンジしたい。それで救える人が一人でもいればいいし、何か新しい音楽の感動や考察の種を示せたらとも思う。
今の僕はそこに懸けている。病気が治るかもしれないし、もしかしたら最後には死んでしまうかもしれない。どうなるか分からないけど、この病気を公開しながら音楽を発信していくことだけは約束します」
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)#Yahooニュースhttps://t.co/QB6Qaz21QP
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) April 19, 2024
この話題にネットでは
「うつになったら元通りにはならないよね。辛さわかる」
「そう、これは経験者じゃないとわからないよね。無理なさらずに」
「カウンセリング遅れてるよね日本は」
「たくさん辛い症状抱えてるんだね」
「突発性難聴や群発性頭痛はストレスで起きやすいから、元々ストレス溜め込みやすいんだね…」
「倦怠感と言うにはもっと身体が重力に引っ張られて動かない感じだよね。他に言葉がないから使ってるんだろうけど、軽く聞こえるから何だかな」
「そうそう。なんて言うか、上からの重みも感じるのだけど、ずぶずぶ下に下に…引っ張られて沼にはまり込んでいく感覚。だけど「あぁ動かなきゃ…何とかしなきゃ…」って頭は動いているから、動けない体にやるせなさを感じつつもどうにもできなくて、その悪循環に陥る」
「鬱はつらいよ。リアルでは本当にわかってもらえないけど」
「サカナクションの曲好きだから無理しない程度に細く長く活動を続けていってくれたら嬉しいな」
「グッドバイを聴くと癒される。沢山素敵な曲を作ってくれてありがとうと言いたい」
という声も。